甲状腺と不妊症

不妊治療の検査では初診時に甲状腺ホルモン値を測定することがあります。甲状腺ホルモンは卵胞の成長に影響します。

■甲状腺とは?
首の下部中央にあるハート型の臓器で、甲状腺ホルモンを分泌しています。また、食事に含まれるヨウ素を材料にして甲状腺ホルモンを作る役割を果たしています。

■甲状腺ホルモンとは?
甲状腺から血液に乗って全身の細胞に働きかけ、新陳代謝を活発にする働きを持っています。甲状腺ホルモンは卵胞の成長に必要なホルモンで、十分な甲状腺ホルモンがないと卵胞は成長せず、排卵が起こりません。甲状腺機能低下症の場合、無排卵、無月経が生じやすくなります。軽度の甲状腺機能低下症の場合、月経には影響を与えないことも多いです。

妊娠すると甲状腺ホルモンの必要量が増えます。そのため、妊娠を望む方は妊娠前に甲状腺ホルモン値を測定し、不足している場合は甲状腺ホルモンの補充を行い、ホルモン値を安定させておくことが大切です。

■甲状腺ホルモンってどうやって調べるの?
採血で調べることが可能です。検査項目は以下の通りです。

TSH(甲状腺刺激ホルモン)
脳下垂体から分泌されます。甲状腺にホルモンを出しなさいと命令するホルモンです。

FT3、FT4(甲状腺ホルモン)
甲状腺ホルモンはT3とT4の2種類があります。T3とT4はタンパク質に結合しているものと、結合していないもの(F:フリー)があり、フリーであるFT3とフリーであるFT4を測定することが多いです。

TSH、FT3、FT4を測定することで、甲状腺の機能が低下していないか知ることができます。

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の場合でも、月経不順や無排卵などの症状が不妊の原因となります。また、流産リスクも高いため注意が必要です。